手荒れ(進行性指掌角皮症)
手荒れ(進行性指掌角皮症)
手の皮膚が乾燥してしまい、皮膚炎が発症した状態を指します。
手あれは、特に主婦、美容師、飲食店員、銀行員などによくみられる病気です。
水仕事をよくしたり、紙幣をよく扱ったりするために、繰り返し指先に刺激が加わって起こるものと考えられています。
手荒れの歴史
今では、手荒れにハンドクリームは当たり前で、手も顔と同様に化粧水から美容液までさまざまな商品がありますが、こういった商品がなかった昔はどのように対処していたのでしょうか。
美しさは顔で評価されるのは今も昔も変わりませんが、江戸時代では顔と同様に手の美しさも評価されていたとされ、牡蠣の殻を粉末にしたものや里芋を材料にハンドクリームを作っていたという記録があります。
手荒れでごわついた手は嫌われるとあって、手間ひま惜しまずに努力していたようです。
原因
手荒れの原因になるものは、シャンプーやリンス、使っているハンドクリームがお肌に合わないなど、色々あります。
手指の皮膚は皮脂腺から分泌された皮脂と汗腺から分泌された水分が乳化しクリーム状となり、皮脂膜として皮膚を保護しています。
手洗いによりこの皮脂膜がはがされ、その下の角質の水分が蒸発してしまい、乾燥してかさかさになります。
頻回の手洗いにより回復しかけた皮脂膜が再び除去されてしまことも原因のひとつです。
症状
初期の症状としては、乾燥、軽いひび割れや皮がむけるなどがあります。
症状が進行してくると、赤みが目立つようになり、皮膚が硬くなったり、ひび割れからの出血が見られるようになります。
重傷のものになると、手湿疹やただれ、水ぶくれなど、痛みで指が曲げられないほど痛くなることもあります。
手荒れの種類
接触性皮膚炎は大きく分けて2種類あります。
刺激性接触皮膚炎
手は通常、皮脂や皮脂膜がバリア機能となって守られています。
特に冬場になると空気も乾燥し、それに寒気が刺さるように刺激します。
水に手を浸ける、手を洗うという行為は更に乾燥をまねきます。
そこへハンドソープやアルコール消毒、化学洗剤の使用や紙や布類を頻繁に触るなどの行為全てが刺激となって手荒れを起こします。
はじめはカサカサしていても進行するとひび割れ、出血、水ぶくれなどを起こします。
アレルギー性接触皮膚炎
体が自然に特定の物質に対して過敏になってしまい、その物質に接触することで手がかぶれた状態になること。
アレルギー反応を起こす対象物は色々なものがありますが、よく見られるケースはゴム製品、毛染料、化粧品、シャンプー、金属類などです。
治療方法
軽度のものであれば、日々のケアが重要で、手洗いをするたびにハンドクリームを塗って水分と油分を補給しましょう。綿手袋を使用することで保湿に繋がります。
重症化すると、ご自身のケアだけでは治すことができませんので、早めに受診してください。
手荒れの予防方法
手は外部からの刺激が多いため、皮脂や皮脂膜などでバリア機能が備わっていますが、日常生活においても炊事、水を扱う職業の方などは特にこのバリア機能を低下させてしまいます。
予防の一番は水を扱う機会を減らすことですが、現実はそうもいかないものですので、保護することを中心に工夫しましょう。
主婦の方であれば食器洗い洗剤は低刺激のものを選ぶ、または薄めて使用する、熱いお湯ではなくぬるま湯ですすぐようにしましょう。
新宿・西新宿近辺でも、飲食店や美容室など水を扱う職場の方が多いのですが、用途に合わせて手袋を使うようにしてください。手袋にアレルギー反応を示すという方は、一度皮膚科を受診して下さい。
水を扱った後は、必ずしっかり拭き取って保湿クリームなどを使うことをおすすめします。
手荒れに効く食べ物
手荒れを外側からカバーするだけではなく、身体の中から予防対策をすることも大切です。
手荒れが皮膚の新陳代謝が低下して起こる場合にはビタミンCが一番効果的で、アレルギーが原因であれば免疫力を強化することが必要となります。
この二つの成分が配合された食べ物が柿です。
柿はみかんの2倍のビタミンCを含み、柿のヘタは免疫力をアップさせます。
柿を丸ごとジュースにしてもいいですし、柿の実はそのまま、ヘタは煎じてお茶として飲むことも良さそうです。
手荒れに効く食事
肌荒れに良いとされるものは、やはりビタミンが豊富な緑黄色野菜です。また、手が乾燥しづらい体内環境を作ることも重要です。
のどが渇いて飲む飲料水は冷蔵庫で冷やしたものではなく、常温かホット飲料がおすすめです。
野菜とタンパク質をたっぷり摂ることで身体を温めます。
その野菜は寒い地方で収穫され、葉物よりは土の中で育つもの、赤や黒系の物が効果的と言われますので、1日3食の中にバランスよく取り入れた食事がおすすめです。
手荒れの注意点
手荒れは肌のバリア機能が落ちている証拠です。かゆいからと掻いてしまうと患部がどんどん広がっていきます。
そこから細菌感染する場合がありますので、ひどくならないうちに皮膚科の受診をお勧めします。
外気に当たるときや就寝時などは、しっかりと綿素材の手袋を使用すると悪化防止になります。
手荒れの治療薬
保湿薬
手の表面が傷ついているため、保湿薬を塗布することでバリア形成していくヒルドイド、ワセリン、ビーソフテン、ウレパールなどの軟膏やローションを処方
ステロイド軟膏
手荒れが進むと痛みや出血などが見られるようになります。保湿剤だけでは治癒しづらいため、炎症をおさえる目的のアンテベート、リンデロンVG、ネリゾナ、デルモベート軟膏を処方
抗アレルギー剤
アレルギーによる手荒れとかゆみがひどいときは、外用薬と合わせてクラリチン、セレスタミン、アレグラなどを処方
手荒れの検査
指と指の間などに赤みが見られる場合は、水虫やカンジダ症も視野に入れ、その部分の鱗屑(角質細胞がはがれたもの)を一部顕微鏡検査します。
また化学物質や金属、植物などアレルギーが原因と疑われた場合は、パッチテストにて原因物質を探していきます。
手荒れの保険診療
手荒れの治療薬につきましては、保険適応内のものを取り扱っております。
初診料または再診料などと合わせても、保険証をご持参いただければ患者様は3割負担になっています。
手荒れの治療費用
手荒れぐらいと考える方も多いかと思いますが、新宿、西新宿の飲食店や美容院などでお勤めの方々にとっては重症化する一方で、悩みの種と思われます。
当院皮膚科では、そういったお悩みに対して親切な対応と専門的な視野での適切な治療をもとに、お役にたてるよう努めております。
費用の方も患者様の負担をより軽減できるような診療方針で行っております。
手荒れやほか皮膚に関してお困りの際は、ぜひ当院皮膚科をご利用くださいませ。