帯状疱疹(たいじょうほうしん)

当院皮膚科では帯状疱疹の治療も行っています。

 

ワキ近くの背中あたりにずっとピリピリ、チクチクした痛みを感じていたら、いつ間にか特有の発疹があらわれ、初めて気づかれることも多い帯状疱疹ですが、できれば痛みを感じたらすぐに診察を受けることをおすすめします。

 

治療を開始するのが早いほど、症状を抑えることもでき、治りも良いからです。痛みのピークは皮膚の症状が出てから7日目から10日目と言われています。この時期まで放置している人もたまにいますが、相当強い痛みなのでおすすめできません。

 

忙しくて通院が難しい方でも、当院ならば新宿駅から徒歩1分、夜間診療も行っているので仕事帰りに立ち寄ることもできます。帯状疱疹かなという症状があらわれた場合にはできるだけ早期に治療を受けるようにしましょう。

 

■帯状疱疹(たいじょうほうしん)の原因

 

帯状疱疹の原因は水痘・帯状疱疹ウイルスです。水ぼうそうを引き起こすものと同じウイルスが原因になっているのです。水ぼうそうは一度かかれば免疫ができるため二度と発症することはありません。

 

しかし、水ぼうそうが治った後も水ぼうそうウイルスは神経の細胞にひそみ続けています。子どもの頃にとりついた水ぼうそうウイルスが、何らかの理由で免疫力が低下した時に再び増殖して、その神経が支配している領域の皮膚に水疱を作るのが帯状疱疹なのです。 通常は帯状疱疹は一生に一度しかかかりませんが、治療をスタートするのが遅くなると痛みだけが残ることが稀にあります。

 

これまで感じたことのないようなピリピリ感を皮膚に覚えたらできるだけ早く皮膚科を受診しましょう。 とくに、加齢、ストレス、過労、紫外線などによって免疫力が低下していると考えられる場合には要注意です。

 

■病例

 

最初は虫刺されのような独特のピリピリ感が身体の一部に走るのを感じます。 やがて神経の走行に沿って帯状の水ぶくれと赤い発疹が浮き上がってきます。最初はかゆみ程度ですが、だんだん強い痛みを伴うようになります。

水ぶくれや発疹は左右どちらかの半身だけに出るのが特徴です。 水ぶくれが破れ、びらんになり、かさぶたになって治ります。

 

皮膚の変化とともに痛みも消えていきますが、治療をスタートするのが遅くなってしまうと神経に痛みだけが残る帯状疱疹神経痛を起こすことが稀にあります。

 

帯状疱疹の痛みは、神経節に隠れていたウイルスが体の表面に出てくる時に神経を傷つけながら広がるために生じます。 増えすぎたウイルスが長時間にわたって神経を攻撃し続けることにより、神経に傷が残ってしまうと帯状疱疹神経痛になるのです。ですから、ウイルスの増殖をできるだけ早く抑えることが後遺症を残さないカギになるのです。

 

■帯状疱疹(たいじょうほうしん)の治療方法

 

帯状疱疹の検査はとくにありません。神経の走行に沿って独特の水疱が出現すれば、診断できますが、初期症状で、症状がはっきりしない場合は、すぐに診断がつかないこともあります。

 

治療は薬物治療が中心です。抗ウイルス薬、鎮痛剤、ビタミンB12などが用いられます。 皮膚に水疱が出てから72時間以内に抗ウイルス薬を投薬すると、皮膚の病変と痛みを効果的に軽減することが期待できます。 ビタミンB12自体にはウイルスを軽減する働きはありませんが、神経を保護する作用があるためともに用いることが望ましいとされています。

 

抗ウイルス薬はアシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビルなどが使用されます。できるだけ早期に全身投与を開始することが症状緩和のカギになります。

 

治療開始が遅れて重症化した場合にはアシクロビル、ビダラビンなどの抗ウイルス薬の点滴をすることもあります。 飲み薬と併用して塗り薬も用いられます。非ステロイド抗炎症薬や、抗生物質の成分の入った化膿止めの薬を使用することもあります。

 

■帯状疱疹(たいじょうほうしん)の改善例

 

神経痛のような痛みが始まってから約5日後に身体の片側に赤い発疹があらわれ、やがて水疱にかわり、水疱が化膿した膿を持った後にかさぶたとなって約3週間で治るというような改善例が一般的です。

 

免疫力が強ければそれよりも早く治ることもありますし、低下していれば、稀に、全身水ぼうそうのように発疹が出てしまうこともあります。 深刻な場合は深い潰瘍を作ってしまい、痕に残るケースもあります。

 

痛みは個人差があり、ほとんど痛みを感じない人もいますが、非常に激しい痛みを感じる場合もあります。 一般的に高齢者ほど激しい痛みがあらわれがちですが、多くの場合、発疹とともに痛みも消失します。ただ、発疹が消えても半年、ひどければ数年にわたって痛みが続く帯状疱疹後神経痛には注意が必要です。

 

さらにあご、耳、首にできる帯状疱疹はラムゼイ・ハント症候群といい味覚障害、顔面神経痛、難聴を合併してしまうことがあります。

 

■費用

 

帯状疱疹の治療費はどの薬を使うかにもよって異なってきます。たとえば代表的な抗ウイルス薬、バルトレックスを1週間使用した場合、3割負担の健康保険でも、約7500円かかる計算になります。

 

どの薬を使用するにせよ初診料を含めておおよそ1万円が目安になりますが、最近はジェネリック薬も各種出ているので、以前より、リーズナブルにすませることも可能です。

 

抗ウイルス薬を1週間にわたって服用しなければならないとしたら、負担額はけっして小さくありませんが、神経痛を残して痛みが続き、皮膚科や痛み治療のペインクリニックへ通い続けなくてはいけないことを考えれば、必ず皮膚科を受診するべきです。

 

■診察までの応急処置

 

自宅で帯状疱疹と気がついたら、皮膚科で治療を受ける前にいくつかの応急処置をしておきましょう。 もし水疱ができていても潰さずにおかなければいけません。

 

破れたところから細菌感染が起きることもあります。 帯状疱疹の痛みは神経痛です。

 

神経痛は、冷やさないようにしましょう。神経疾患なので冷えは、神経痛を悪化させてしまうのです。入浴は主治医と相談ですが、入っても問題ないことがほとんどです。

 

■再発予防

 

帯状疱疹は基本的に一度しかかかりません。

 

しかし、稀に再発するケースがあります。帯状疱疹は神経にひそんでいた水ぼうそうウイルスが原因であることはこれまで説明してきた通りで、一度かかれば帯状疱疹の抗体ができるのですぐに感染することはないのです。

 

しかし、その抗体は時間が経つにつれてパワーダウンしてしまうことがあり、そうなると再発してしまうのです。 帯状疱疹再発の引き金になるのはストレス、疲れなどです。十分な睡眠をとって栄養バランスの良い食事を心がけ、ストレスはあまり抱え込まないようにするか何らかの方法で発散するようにしましょう。


また、帯状疱疹ワクチンを摂取するのもひとつの方法です。抑制率は中高年で60%以上というデータもあります。日本ではまだ保険適用外ですが、アメリカでは50歳以上に積極的に摂取を奨励しているとの報告もあります。