水虫/詳細
水虫の治療・診察
当院皮膚科では水虫の治療を行っています。
水虫は白癬菌というカビが皮膚に感染して起きる病気の一種です。
白癬菌と一口にいってもさまざまな種類があります。
水虫などの原因になる白癬菌は世界では40種類、日本国内だけでも10種類ほどが知られています。トリコフィトン・メンタグロフィテス、トリコフィトン・ルブルムがポピュラーです。 人間以外の動物も白癬菌に感染しますが、基本的には人間とは違う白癬菌になります。
ただし、犬や猫に寄生しているミクロスポルム・カニスは人に感染することがあるので注意しなくてはいけません。 水虫はめずらしい病気ではありませんし、症状も比較的軽いのでつい放置しがちですが、どのケースでもできるだけ早く皮膚科を受診することをおすすめします。
水虫の原因
水虫の原因は白癬菌が皮膚のケラチンというタンパク質を栄養にして増殖することで引き起こされます。 白癬菌は高温多湿の環境が好きです。
たとえばプールや共同浴場などのたえず湿り気のある場所を利用する機会が多い、長靴や革靴を長時間履いている、汗をかきやすいような人が罹患するケースが多く見られます。
また、人から人への感染もあるので、家族の中に水虫の人がいたり、老人施設等で集団生活をしている場合はさらにリスクが高まります。足の指が太くてくっついている人、足が蒸れやすい仕事をしている人、糖尿病や免疫不全などの病気で免疫力が低下している人も水虫予備軍です。
おかしいと感じたら早めに皮膚科で治療を受けましょう。
病例
水虫はどこに発症したのか、どんな症状なのかによっていくつかに分類されます。
趾間型水虫は足の指の間にできますが、皮膚がふやけてかゆくなりやがてむける、もっともよく見られる症状です。 水虫というと、中年以上の男性がかかりやすいイメージがありますが、ストッキングやブーツで蒸れやすくなった若い女性もかかりやすい皮膚病といえます。
水疱症型水虫は足の裏や土踏まずにできて、小さな水ぶくれがたくさんできた1週間後ぐらいに皮膚がむけはじめます。かゆみを伴うことがあります。
かかとにできる角化型水虫は角質層が厚く固くなって表面がひび割れて皮膚がむけます。
かゆみがないため水虫と気がつかないことが多いようです。
同じくかゆみがないため水虫と自覚されにくいのが爪水虫です。白癬菌が爪の中に入り込んで爪を変色させたり変形させたりします。爪水虫の場合は、塗り薬だけではなく、飲み薬も使用します。 いずれの場合も皮膚科で治療することができるのです。
検査と診断
水虫かどうかは皮膚や爪の一部を採取して白癬菌の有無をチェックする検査を行います。
ただ、削った部分にたまたま白癬菌がいなかったり、検査前に市販の水虫薬を塗布していると反応が出ないこともあります。
そのような場合には再度検査をするケースもあります。
間違えてはいけないのが、かゆみや皮むけがあったからといって水虫とは限らないという点です。逆にそういった症状がなくても水虫といような場合もあります。見た目や自覚症状だけでは診断しにくいのが水虫なのです。 疑わしい場合には、水虫菌の顕微鏡検査をおこないます。
素人判断で市販の水虫薬を利用するのは、あまりおすすめできません。
水虫の治療方法
水虫の治療は塗り薬がメインになります。
症状が出ている場所に薬を直接塗って、白癬菌を殺菌したり増殖を抑制したりします。塗り薬は毎日忘れずにしっかりと塗ることがポイントです。 症状が消えても3カ月は白癬菌が残っているので根気強く塗り続けなければいけません。
もし、かゆみや皮むけが治っても白癬菌はまだいるので素人判断で使用を中止するのはくれぐれもやめましょう。
また、患部周辺にもしっかりと塗るようにすることで広がってしまうことを防ぐことができます。塗布する前には足を洗うなどして清潔にすることでさらに効果をアップが期待できます。
当院は、西新宿のオフィス街にありますが、革靴など仕事で履く方が多いせいか、新宿駅周辺のドラッグストアには、水虫薬が販売されています。市販の水虫薬、特にスプレータイプのものは刺激が強くかぶれることもありますので、そのような症状が見られた場合にも必ず皮膚科を受診しましょう。
水虫の改善例
水虫治療に用いられる治療薬は、細胞膜の生成を抑制して、増殖をストップさせるものがほとんどです。菌が駐在している古い角質が垢になって落ち、次の新しい角質が出てくるまでに菌の増殖をストップさせようというものなのです。
肌のターンオーバーを利用しているので、一定の期間はどうしても必要になります。
角質の生まれ変わりには1カ月から2カ月はかかります。
さらに、症状が消えてからも白癬菌がまだひそんでいる可能性がある1カ月から2カ月の間もしっかりと塗り薬を塗布して、きちんと水虫を改善した例が報告されています。
逆に、症状が消えて塗り薬をストップしてしまい再発した例も少なくありません。
費用
3割負担の場合、水虫の治療にかかる費用は、初診で1800円前後ほど(顕微鏡検査をした場合)ですが、2回目以降は600円程度ですみます。
水虫の塗り薬は、保険診療であればあまり高額になることはありません。
爪水虫はの飲み薬になると、保険診療であっても、薬代が高いので、1回の治療に、数千円かかります。
診察までの応急処置
皮膚科で水虫の治療をすぐにスタートできればベストですが、なかなか病院に足を行く時間がない場合などは、いくつかの応急措置を施すことで進行を緩和できます。
まず、足の指どうしはできるだけくっつかない状態にしておきましょう。靴を履くとどうしても指と指は触れてしまいますが、そのような場合には指の間にティッシュをはさみます。 かゆみもいくらか感じなくなりますが、いつまでも不衛生なティッシュをはさんでいてはかえって逆効果なので、こまめに取り替えなくてはいけません。 面倒な場合には5本指ソックスがおすすめです。物理的に足の指どうしが直接触れ合うことがないので、かゆみはかなり軽減されます。
再発予防
水虫の再発を予防するには医師の指示通りに薬を使い続けることが第一です。かゆみや皮むけがなくなったからといって塗布を中断してしまうと、再発してしまいます。
なぜならば症状が消えた後も水虫を引き起こした白癬菌は皮膚にひそんでいるからです。これを完全に根絶しなければ一度は治ったように見えてもすぐに再発してしまうのです。
また、いつまでも治らない水虫はじつは違う病気という可能性もあります。かぶれ、湿疹なども水虫と同じような症状を示しますが水虫薬で治癒することはありません。自分では水虫と思っていた人の3人に1人はじつは違う病気だったというデータもあります。
根気強く水虫薬を使用していても少しも改善が見られない場合には注意しましょう。
日常生活の注意点
水虫は白癬菌というカビが原因です。
白癬菌も他のカビ同様に高温多湿を好みます。したがって、日常生活の中でもジメジメした環境を改善し清潔を保つことが重要です。 たとえば足の指の間はよく洗ってきれいな状態にしておきましょう。
足だけではなく床にも白癬菌は隠れているので掃除もかかせません。空気の入れ替えをきちんとするなどして、室内が高温多湿になるのを防ぐようにしましょう。 サンダル、スリッパなどは共有はやめて個人使用がおすすめです。
バスマットは白癬菌の巣窟なのでこまめに洗濯して日光で十分に乾かしてください。
靴の中はしっかりと乾燥させ、できれば毎日同じ靴を履くことは避けましょう。