インフルエンザ予防接種
現在では、不活化インフルエンザワクチンの皮下注射が、 予防接種として行われています。
ワクチンの効果は「発症」と「重症化」を防ぐことを目的としており、「感染」を防ぐことはできません。
「感染」とは、ウィルスが口や鼻から体内に入り、体の中で細胞に侵入して増殖することをいいます。一方で、体内でウィルスが増えると、数日の潜伏期間を経て、発熱やのどの痛みといったインフルエンザの症状が現れ、これを「発症」といいます。ワクチンには、「感染」そのものを防ぐ効果はありませんが、この「発症」を抑える効果があります。
また、インフルエンザに罹患した人の中には、肺炎や脳症などの重い合併症が現れ、入院を必要としたり、死亡したりするケースもあります。これを「重症化」といい、ワクチンにはインフルエンザの「重症化」を防ぐ効果もあります。
予防効果が期待できる期間は、接種してから2週間〜5ヶ月程度とされていますので、流行前にワクチン接種をしておくことが重要なのと、翌年までは効果が持続しないため毎年ワクチン接種を受けることが必要です。
インフルエンザ予防接種の必要性
体の中には外部からの菌やウイルスなどの敵を発見すると、防御機能が働くシステムになっており、これを免疫機能といいます。
インフルエンザ予防接種とは、インフルエンザウイルスの通常の強さのほんの少しの効力を持っているワクチンを、あえて体内に注入します。そうすることで免疫機能に関与するリンパ球がインフルエンザとはこういう力を持っているウイルスだと認識します。
認識を得ることでインフルエンザに対する防御力を養いますが、これを抗体といいます。こうして、準備をしておくと本格的なインフルエンザウイルスという抗原が体内に入った時に、この抗体が抗原に付くことで、ウイルスが増殖するのを阻止することになるのです。
当院耳鼻科でもインフルエンザ予防接種は実施していますが、冬を目前にすると新宿、西新宿にお住まいの方や、通勤途中という方も多く来院されますが、中にはインフルエンザ予防接種をしたのに、インフルエンザにかかった経験があるという方もいらっしゃいます。
予防接種は、インフルエンザ感染を100%阻止するものではなく、罹患してしまっても症状の重症化を防ぐものと、考えることがわかりやすいかと思います。
インフルエンザ予防接種の歴史
インフルエンザワクチン予防接種は、当然のように毎年受けることになっていますが、どんな歴史を持っているかご存知でしょうか。
医療にはたくさんの方の病歴や長い研究と失敗の繰り返しで、今に至っていますが、実はインフルエンザワクチンは、ワクチンの中でも早いうちから開発されたものではありません。
インフルエンザウイルスによる感染症は、16世紀までさかのぼり、当時は空気が汚染してることで発症すると考えられており、ウイルスの研究までは到底追いついていない時代になります。
インフルエンザの名前の由来は、イタリアが発祥であり、「影響」という意味の「インフルエンツァ」と発音されていたそうです。
日本の歴史書によると、日本も平安時代にそれらしき流行病があったとされます。
インフルエンザは最初、「細菌」が原因の肺炎を引き起こす病気と認識され、菌に対する治療を行っていましたが、薬の効果が上がらずに患者の数は減少しませんでした。
しかし、スペイン風邪の原因がウイルスという病原体であるという発見を機に、インフルエンザもウイルス疾患と扱われるようになりました。
インフルエンザ予防接種は、1962年に児童に対する集団接種が行われるようになったのですが、副作用も多く効果も大きくなかったのが現状でした。その後1970年代に入りワクチンの製造法が新しくなり、今に継続される効果のあるワクチンとなりました。
ワクチンを毎年接種する理由
去年に予防接種を終わらせたので、今年は受けなくても大丈夫とお考えの方がいらっしゃいます。
これは大きな考え違いとなって、インフルエンザウイルスに感染することになるので、注意しなければなりません。
ワクチンそのものには有効期間があるということと、インフルエンザウイルスは毎年形を変えて存在するということです。
ウイルスの構造はタンパク質で作られていますが、治療やワクチンによって同じ形だと絶滅してしまうため、構造を変えることで、自分たちの生存を保っているのです。
A型とB型ワクチンが通常ですが、この中でも少しずつ違う形に変更しているので、去年に作られた抗体では、現状のインフルエンザに勝てない可能性があるということが理由となります。
インフルエンザワクチンの副反応
インフルエンザ予防接種を受けた方の10人に1人から2人くらいの割合で副反応が出るとされています。
予防接種は注射によって投与されるので、注射針の刺入部の赤みや腫れ、熱感などが現れることがありますが、数日で消失します。
また風邪症状のような微熱や体のだるさ、吐き気、咳、めまいなどが見られることがありますが、この症状も一時的なものから3日以内には消失します。
極まれに(10万人に1人)、肝機能障害やギランバレー症候群など重い症状の副反応も多くありますが、一番懸念されるのはアナフィラキシーショックといって、ワクチンの成分にアレルギー反応を起こすことです。注射後30分以内に症状が出ることが多く見られます。
予防接種っていつ受けたらいいの?
インフルエンザが流行する時期が、おおよそ12月から翌年3月頃となりますので、11月から12月中旬の間に予防接種を受けることが最良です。
予防接種は、注射後2週間程度経過した後で効果を発し、5ヶ月間程度の有効期間とされます。
インフルエンザに感染して症状が出るまでを潜伏期間といいますが、この期間は2日以内とされていましたが、今日では新型が出現し7日間ということもあると言われます。
予防接種を受けた日より前にインフルエンザに感染した場合には、ワクチンの効果は無効となりますので、タイミングを合わせることが重要となります。
予防接種を受けるにあたって
生後6か月以上のお子さんから予防接種を受けられますが、13歳未満までのお子さんには2回の予防接種が必要であり、13歳以上の方では1回となります。
予防接種は長い時間を所要といたしませんので、新宿、西新宿へ勤務されている方であれば、通勤途中でも気軽に当院皮膚科において受けることが可能となります。
ただし、予防接種を受けられる前に問診をいたしますが、その際に発熱がある、現時点で重病を抱えている、アナフィラキシーショックを起こしたことがあるなどの条件をお持ちであれば、受けられない場合があります。
持病などお持ちでなければ、体調の良い日に受けられることが良いかと思われます。
インフルエンザとは
インフルエンザとはインフルエンザウイルスの感染によって発熱などの症状を来す急性感染症です。
世界各地で毎年流行がみられており、2009年まではA型、B型、C型などに分けられています。
日本では11月上旬から12月頃より感染者が確認され、1~3月にかけて患者数が増加して流行します。
4~5月と暖かくなるにつれて自然と少なくなっていきますが、型によっては春先も流行することがあります。
新宿にある当院内科でも、11月頃から春先にかけてインフルエンザの患者は増加傾向にあります。
インフルエンザの原因
インフルエンザの原因はインフルエンザウイルスの感染で、A型、B型それぞれのウイルスに感染することによって症状があらわれます。
インフルエンザウイルスの感染経路は飛沫感染および接触感染とされています。
飛沫感染は、インフルエンザウイルスに感染している人がくしゃみや咳をして、ウイルスを含んでいる飛沫が周囲に飛び散り、それを吸い込むことで感染します。
感染者から1~2mの距離であれば容易に感染します。
感染しやすい性質があるため集団生活の場では容易に感染しやすくなります。
また、接触感染では感染者がくしゃみや咳を手で抑え、その後触れたところに触れてしまい、その手で食事を摂ったり、口元にあてて吸い込んでしまうことで感染を引き起こしてしまいます。
電車のつり革やドアノブ、共用で使用しているパソコンなどは特にウイルスが付着しやすい場所とされています。
インフルエンザの症状
インフルエンザの症状は38度以上の高熱から始まり、関節痛や筋肉痛、頭痛が突然やってきます。
その後、咳や鼻汁など上気道症状がみられます。
B型の場合は下痢や嘔吐といった消化器症状がみられることもあります。
いずれにせよ、症状は風邪よりも重いことが特徴です。
新宿にある内科や耳鼻咽喉科でも風邪かと思っていたらインフルエンザだったという方が多く見受けられます。
インフルエンザの予防方法
インフルエンザの予防方法はウイルスを取り込まないこと、ウイルスが体内に侵入した時にでも対抗できるように抵抗力をつけることの2つが重要となります。
まず、ウイルスを取り込まない方法としては手洗いうがいが重要になります。
手洗いは、しっかりと水で手を濡らし、石鹸を泡立てて掌、手の甲だけでなく指の間や爪の間も洗います。
石鹸を泡が残らないようにすすいだら清潔なタオルで水気を十分に拭き取れば手洗いの完了です。
水でのうがいもインフルエンザの予防効果があります。
また、外出時にはマスクを着用し、人込みを避けて行動することも予防につながります。
次にウイルスが体内に侵入した時にでも対抗する方法は抵抗力をつけるということです。
栄養と休息を十分に摂ることで抵抗力がつき、ウイルスが体内に侵入したとしても症状が現れずに済むことがあります。