風邪と花粉症の違い

大まかな部分では、まず「原因」が根本的に異なります。

風邪は「ウイルス」を原因として発症するのに対して、花粉症は文字通り「花粉」を原因として発症します。
 
同時に、原因の違いが「環境による影響の受け方の違い」という違いももたらします。まず、花粉症は「花粉が飛散している時期」にのみ、症状が現れます。一方で風邪の場合は、ウイルスが感染しやすい冬場に多く見られるものの、基本的に1年中その症状が現れる可能性は十分にあります。
 
また、それぞれの原因と発症のメカニズムの関係上、風邪は数週間から長くても1ヶ月以内に回復することが多いのに対して、花粉症の場合は花粉が飛散している限り基本的にずっと症状が現れます。
 
さらに、天候による影響の違いもあります。風邪は、天候に影響を受けることは少ないのですが、花粉症の場合は天候の影響を比較的強く受けます。晴れている日や、特に「風の強い日」は花粉が飛散しやすく、症状が強く出る事が多いです。一方で「雨の日」の場合は花粉が遠くまで飛散しないので、よほど近隣に原因となる花粉を出す植物が自生していない限り症状が軽減されます。

症状

発熱

風邪の場合は、発熱が主な症状となるのに対して、花粉症の場合は基本的に発熱を伴いません。ただし、アレルギー反応の一環として発熱を伴うこともありますが、稀なケースであり、発熱しても微熱程度で済む事が多いです。

なので、発熱を伴う場合は風邪、伴わない場合は花粉症という簡単な鑑別もできますが、新宿にお住まい・お勤めの方は当院耳鼻科や、お近くの耳鼻咽喉科で診断を受けてください。


くしゃみ

花粉症の場合はむずがゆさからくしゃみをすることが多いのと、頻度も高く、連続して起こりやすいのが特徴です。風邪の場合は、花粉症と比べると回数は少ないです。

風の強い日にくしゃみが多くなるのも、花粉症の特徴です。これは、原因となる花粉が風によって多く運ばれてくることに由来します。風邪の場合は、風が強くてもそこまでくしゃみに影響しないものと思われます。

 

鼻水

花粉症の鼻水は無色透明でさらさらとしていて粘りのないのに対し、風邪の鼻水は黄色く粘り気のあるのが特徴です。

 

鼻詰まり

鼻詰まりについては、明確な差が出にくいですが、花粉症の方が重症で風邪の方が比較的軽症です。具体的な鑑別のポイントを挙げるとすれば、花粉症の場合は「両方の鼻が詰まる」ことが多くられるのに対して、風邪の場合は詰まるとしても片方の鼻だけが詰まるケースが多いです。

もちろん個人差もありますが、両方の鼻が詰まってしまった場合は花粉症が強く疑われます。新宿にお勤めの方で両方の鼻が詰まってしまった場合はお早めに当院耳鼻科にお越しください。

 

目のかゆみ

これは花粉症にのみ現れる症状で、風邪では起こりません。くしゃみ、鼻水、鼻詰まりがあり、目のかゆみもあれば花粉症である可能性が高いです。

 

 

のどの痛み

のどの痛みは風邪でも花粉症でも起こりますが、風邪の方がイガイガする痛みで、唾を飲み込むときに痛みを伴いますが、花粉症ではのどに何か詰まったような感じがすることはあるものの唾を飲み込んでも痛みはありません。

 

どの部分で鑑別するべきか?

この他にも、風邪の症状として「倦怠感」「頭痛」「関節痛」「下痢」などの症状が挙げられます。花粉症ではそこまで多く見られない症状ばかりなのですが、花粉によって引き起こされるアレルギー反応によって上記のような症状を呈することもあります。なので「頭痛が起きているから花粉症ではない」と断定することは難しいです。
 
花粉症と風邪を鑑別しやすい部分としては、まず「目のかゆみの有無」です。目のかゆみが強く現れている場合、花粉症である可能性が濃厚です。耳鼻咽喉科、内科、眼科で治療を開始されることをお勧めします。
 
次は「鼻水の質」です。粘性が強く、色が濃い目の場合は風邪である可能性が高いです。一方で鼻水の粘性が弱く、水っぽい鼻水が出やすい場合は花粉症である可能性が高いです。
 
他には「天候による症状の変動」です。風の日に症状が強く現れ、雨の日に症状が弱まる場合は花粉症である可能性が高いです。風や雨の日にも全くと言って良いほど症状が変動しない場合は風邪である可能性が高いです。
 
しかし、これらの基準はあくまでも目安であり、確実にどちらかの病気であると断定することは不可能です。病気による症状の現れ方には個人差があり、本人の免疫力や体力、体質の変化によって症状の現れ方も変化しますので、過去の罹患実績から鑑別することも確実なものではありません。風邪や花粉症の症状を感じた場合、お早めに医療機関を受診して治療を受けるようにしましょう。スギやヒノキなどの花粉症のアレルギー検査を採血でおこなう場合もあります。
 

このように風邪と花粉症では症状に違いがありますが、併発していることも考えられたり、素人では判断を誤る恐れもありますので、自己判断で勝手に思い込んでしまわず、医師に相談することが大切です。

 

花粉症について(協和発酵キリン)