◉当院では、ノロウイルス検査は
 おこなっておりません

ノロウイルス胃腸炎

 

ノロウイルス胃腸炎とは

ノロウイルスとは人の小腸粘膜で増殖するウイルスです。

従来は小型球形ウイルスと呼ばれていました。主に11月から3月にかけて胃腸炎を起こします。
少量のウイルス(100個以下)でも発症し感染力のとても強いウイルスで保育園や高齢者施設など集団生活の場では、感染がひろがり集団発生を引き起こしやすいといえます。

ノロウイルス胃腸炎の感染原因

感染経路には、主に人からの感染と、食品からの感染があります。

人からの感染

・患者の便やおう吐物から人の手などを介して二次感染する場合

・家庭や施設内などでの飛沫などにより感染する場合など

食品からの感染

・感染した人が調理などをして汚染された食品を食べた場合

・ウイルスの蓄積した、加熱不十分な二枚貝などを食べた場合

過去のノロウイルス食中毒の事例では、約7割で原因食品が特定できていません。

ウイルスに感染した食品取扱者を介して食品が汚染されたことが原因となっているケースも多いと考えられています。
食品が特定されている中で、最も多い原因としては、ノロウイルスに汚染された二枚貝があります。ノロウイルスに汚染された二枚貝を、生や加熱不足のまま食べることで食中毒が発生しております。

ノロウイルス胃腸炎の注意点

新宿や西新宿でもノロウイルスに関わる症状で当院内科に受診される方がいますが、食べた物からは考えられないということを言われることがあります。

ノロウイルスの感染源は食べ物にノロウイルスが付着していることばかりではありません。症状は出てなくてもウイルス感染した人と接触したり、その人が使用したトイレを自分が使ったなどとするとそこから感染することがありますので、ノロウイルス胃腸炎にならないように気を付ける点は、食べ物ばかりではないということを認識しておいていただきたいです。

   

ノロウイルス胃腸炎の歴史

今でこそノロウイルス胃腸炎の知名度は高くなり、予防する方々も多くなってきましたが、昔には病名を聞くことさえなかったものです。

ノロウイルスの発祥となった地はアメリカです。ある小学校で急性胃腸炎を主症状とした集団感染が生じました。今となっては遺伝子検査まで発展していますが、その頃は顕微鏡検査が最高の検査技術でありウイルス粒子の形態から鑑別されていました。ウイルスの検査を進めるためにも呼称が必要であり、当時はアメリカのノーウォークという地域で起こったものなので「ノーウォーク様ウイルス」と名付け、のちに学会で発表された正式名が「ノロウイルス」というわけです。

ノロウイルスは昔にも存在していたものだろうと言われます。ノロウイルス感染と同じような症状のものは昔には「お腹の風邪」と呼ばれていたものではないかと推測されます。昔の人々は動物とも共存に近い環境で、今のように「抗菌」の環境ではなかったため免疫力も高く、ウイルス感染もそれほど多くはなかったのかもしれません。

   

ノロウイルス胃腸炎の予防方法

・帰宅時や食前、調理する場合にはその前にしっかりとした手洗いをする。また水分の拭き取りは清潔な個人タオルかペーパータオルを使うようにしましょう。

・調理する場合にはしっかり加熱するようにしたり、食器などは「次亜塩素酸ナトリウム」が含まれた洗剤に浸したり、85℃以上のお湯で1分間の消毒をしましょう。

・周囲にノロウイルス胃腸炎になった人がいた場合には、吐物や便は使い捨て手袋を使用して乾く前に処理しましょう。また吐物などが付着した寝具や衣類も速やかに塩素系漂白剤につけてください。(水500mlに対して、塩素系漂白剤を10ml)

 
 
   

ノロウイルス胃腸炎の症状

 

ノロウイルスの主な症状として発熱(初期症状では微熱が大半、高熱が出る事は稀)、嘔吐、下痢症状、腹痛などがあります。

ノロウイルス胃腸炎の種類

ノロウイルスを遺伝子の配列上で種類分けするとGⅠ~GⅤ群までの5種類とされ、その中でノロウイルス胃腸炎につながるのはGⅠ群、GⅡ群、GⅣ群の3つ。さらに人間に見られたウイルスはGⅠ群とGⅡ群に絞られます。GⅠ群は9種類に分類され、GⅡ群は22種類にも分類されます。

 

現在までにノロウイルス胃腸炎感染者から検出したウイルスはこの中の数種類ですが、今後も感染の可能性はとても高いということになります。免疫がついたとしても形が違えば新しいウイルス感染と同じことです。症状は種類が違っても大きな変化はありません。

 

同じく感染した人でも症状が違うということは、その人に免疫力や体力がどの程度あるのかということによって重症化するかどうかが違ってきます。

 
 
   

ノロウイルス胃腸炎の治療法

ノロウイルスに特有のワクチンの開発や、ウイルスを排除する専門薬はありません。

ノロウイルス胃腸炎の治療は、あくまでも症状に合わせて緩和するためのお薬を処方することになります。
ノロウイルス胃腸炎による吐き気や嘔吐に対しては吐き気止めのお薬は処方できますが、下痢を止める薬は必ずしも適応されるとは限りません。排便することでノロウイルスを排除することにもなりますので、無理に止めてしまうといつまでも腸に残ってしまいます。

嘔吐や下痢、それに絶食ということから一番脱水に注意しなくてはなりません。
免疫力の低い乳幼児や高齢者は脱水症状を起こしたり、体力を消耗したりしないように水分と栄養の補給を充分に行ってください。脱水症状がひどい場合には水分の損失を防ぐために必要に応じて補液を用いることもあります。

ノロウイルス胃腸炎の検査

ノロウイルス胃腸炎の検査には二通りあります。

一つはノロウイルスの有無を判定する検査キットです。 嘔吐や下痢のあった方の便を検体として調べます。早急に結果も出ますし料金も高額ではないというメリットがありますが、本当は陽性なのにウイルスがたまたま見つからなければ陰性という結果がでることもあり、信ぴょう性がやや低いというデメリットもあります。

もう一つは精密検査で電子顕微鏡法やRT-PCR法などを活用します。吐物や便を検体として遺伝子を検査をすることでウイルスの存在を確認する手法です。 簡易的な検査ではないので、高額で結果が出るまでの日数がかかるというデメリットがあります。

ノロウイルス胃腸炎の保険診療

ノロウイルス胃腸炎を特定する検査に関しましては自費診療となりますが、精密検査においては患者様の年齢が3歳未満または65歳以上の高齢者に限っては保険が適応されます。

治療に関するお薬などは保険診療となりますので保険証をご持参のうえお越しください。

ノロウイルス胃腸炎の治療費用

ノロウイルスの治療は脱水を回避することと安静です。当院内科にも新宿や西新宿に関わりのある患者さんが多く受診されますが、大きな症状が治まってからという方もいらっしゃいます。

一番大切なのは薬というよりは水分補給と安静です。必要のない治療や薬を進めるような診療ではなく、患者様の治療費の負担をできるだけ少なくする方針を心がけております。

患者様が信頼をおけるよう、患者様の健康を維持する最善の方法をもって診療にあたっておりますので、体に関する苦痛やお困りのある方は、ぜひ当院内科にお越しくだいますようよろしくお願いいたします。