貧血
貧血の治療・診察
新宿駅前の当院内科では貧血の治療も行っています。貧血とは血液中のヘモグロビンが減少してしまった状態のことです。
ヘモグロビンとは赤血球を構成する要素のひとつで、赤いたんぱく質でできていて酸素と結合し、体中に運ぶ役目を担っています。
このヘモグロビンは鉄分が減少すると減ってしまいます。そのようにヘモグロビンが足りなくなり血のめぐりと全身への酸素供給の状態が悪くなっている状態を貧血といいます。
特に、女性は月経で出血するので、多くの女性が日常的に鉄欠乏症貧血になっています。
貧血になると新陳代謝が滞り、酸素不足を補うために心臓が心拍数を上げるため、さまざまな不快な症状があらわれ、時には著しく日常生活のクオリティを下げます。たかが貧血だからと我慢せず、前向きな治療が大事です。
貧血の原因
貧血にはさまざまな原因があります。女性ならば月経、子宮内膜症、子宮筋腫などで貧血になることもあります。
また、妊娠初期に胎児の栄養を補給するために母体の鉄分が不足し貧血を起こすこともあります。
また、男女関係なく痔や消化器の潰瘍からの出血で鉄分不足になることもあります。鉄分の足りない食生活が原因のこともありますし、重い病気で胃や十二指腸を切除したことがある人も、鉄分吸収が阻害されているので多めに鉄分を摂らないと不足しがちです。
このように、日常生活のいたるところに貧血になるきっかけが潜んでいるということもできます。一度鉄欠乏症が起きると身体全体の鉄のバランスが崩れ肝臓等に蓄えられた貯蔵鉄が使われてしまい、ますます鉄欠乏症が進み、次第に貧血体質を作ってしまうのです。
病例
貧血にはさまざまな症状がありますが、それが全部一度に出るというわけではありません。体質、既往歴などによっても出る症状は違いますし、同じ人でもその日によって異なったりもします。
代表的な貧血の症状はめまい、立ちくらみ、動機、息切れなどです。つねに倦怠感、疲労感がつきまとい寝起きも悪く食欲不振になりがちです。食生活の乱れから口内炎を起こしたり、髪が傷んだり、爪が凸凹してきたり、肌ツヤのない独特の粉を吹いたような青白い顔になりがちです。頭痛、耳鳴り、首のこり、肩のこりなど体のどこかがいつもだるく、不安や緊張感も強いなど精神面にも大きな影響を及ぼします。
貧血というと病気ではないようなイメージを抱いている人も多いかもしれませんが、立派な治療の対象です。重症化してさらに別の重い病気を併発することもあるので、けっしてあなどれないのです。
検査と診断
貧血の検査は血液検査が行われます。鉄分不足による赤血球中のヘモグロビンの減少が貧血の原因としても、赤血球値は正常ということは結構あります。赤血球の数が少なくなるのは症状が進行している貧血です。鉄欠乏性貧血は赤血球の数はそのままで赤血球が小さくなってしまうために起きてるのです。ですから、血液検査ではそのようなことを調べなくてはいけません。
また、赤血球だけでなく白血球などすべてが減少していたら血を造っている骨髄に異常が起きている再生不良性貧血かもしれません。赤血球量そのものが減っている時には、赤血球の前段階である赤芽球のままで消滅してしまう巨赤芽球性貧血の可能性もあります。おもにビタミンB12 や葉酸の欠乏によって起きる貧血の一種です。
貧血の治療方法
鉄欠乏性貧血では、食事療法と薬物療法が中心となります。
薬物療法では、鉄剤を一定期間服用して鉄分補給を試みます。同時に食事療法も行い、鉄分不足にならないよう食生活の指導を行います。なお、その後の検査で改善が認められても、しばらくは鉄剤の服用を続けることになります。
鉄剤の副作用として、嘔吐やむかつき、下痢などの症状が出るケースがあります。これらは、鉄が胃腸粘膜を刺激することが原因となり発症します。副作用が出た場合は内科の医師の指示に従い、鉄剤の服用タイミングを変えたり、服用量自体を減らしたりして対応します。
お茶やコーヒーに含まれるタンニンが鉄の吸収を妨げるという心配もよく聞かれますが、お茶やコーヒーを過剰に摂取しない限り問題ありません。
もし、一定期間鉄剤を服用しても症状の改善が見られない場合は血液疾患の疑いがあるため、血液内科専門医による診断が必要な場合もあります。
貧血の改善例
貧血の治療として食事療法と薬物療法を用いることによって、改善が見られた例は多数あります。貧血治療の基本である鉄剤を飲み続けることになりますが、副作用として嘔吐、むかつき、下痢症状が出ることもあり、人によってはかなりつらいことになります。
しかし、医師の指示に従って服用を続けていれば大半の貧血は必ず改善します。
ただ、一定期間鉄剤を使用しても何ら改善が見られない場合には、貧血ではない疑いもあります。血液疾患の疑いもあるので早めに大学病院で精密検査を受けるなどすることをおすすめします。
費用
貧血の治療にかかる費用を3割負担で見てみると、まず血液検査はおよそ1000円です。ここに初診料+診察料約1000円と薬代が加わりますが、薬は何を使用するかによってもかなり費用が違ってきます。3000円から5000円ほど用意しておけばまず間違いありません。
たとえば鉄欠乏性貧血ならばクエン酸第一鉄Na錠などが処方されますが、1日1錠1ヶ月分で約500円と大変リーズナブルです。人によって1日3錠飲むように指定される場合もありますが、もしそうだったとしても市販サプリよりお得なぐらいです。
市販の鉄剤を購入して飲む人も結構いますが、血液検査で鉄欠乏性貧血とわかる前にそう決めてしまうのはリスクもあります。検査自体もけっして高いものではありませんし、貧血は内科のクリニックで治療することをおすすめします。
診察までの応急処置
貧血はところかまわず起きます。たとえば駅のホームで貧血になると危険です。めまいやたちくらみを感じたらすぐにベンチに座って衣服の体をしめつけている部分をゆるめましょう。
横になること、頭を下にすることが鉄則です。自分が貧血になった場合もそうですし、もし、まわりの人がそうなったらそのように介助しましょう。
再発予防
貧血の再発を予防するには、もし鉄欠乏性貧血ならば毎日の食事の中で鉄分を多く含む食物を積極的に摂取することです。レバー、牛肉、豚肉、うなぎ、サバ、かき、いわし、海藻類、貝類、ほうれんそう、小松菜、大豆などが鉄分を多く含む食材になります。
ただし、食品中の鉄分は体内で吸収率が高いヘム鉄とあまり吸収されない非ヘム鉄があります。ヘム鉄が多い食品を摂るように注意しましょう。鉄分だけでなくタンパク質も大事です。タンパク質は赤血球の造成に欠かせない栄養素なのです。
また、投薬治療は必ず最後まで続けることで効果を発揮します。もう必要ないと勝手に中断するのはやめましょう。いったん治療が終了しても定期健診で血液検査を受けて貧血になっていないかチェックすることも忘れてはいけません。