喘息(ぜんそく)
喘息(ぜんそく)の治療・診察
新宿駅前にある当院内科では喘息の治療も行っています。
喘息とは発作的に咳が出たり、呼吸困難を起こしたりする病気のことです。 ヒューヒューゼーゼーという特有の呼吸「喘鳴」も症状のひとつです。喘鳴は気管支が痙縮し、空気の通りが悪くなるために起きます。
ひどい時には横になると呼吸できないほどの状態になり、とくに夜間の喘鳴は体力を消耗させてしまいます。 喘息というのはいってみれば慢性的に気道周辺に炎症を起こしている状態なので、少しの刺激でも反応しやすくなっています。煙草のけむりやホコリなどが発作の引き金になることもあるので、家族も注意する必要があります。
特定の季節だけ症状が出るパターンもあり、一口に喘息といってもさまざまです。持病とよばれるような長くつきあう疾患になることも少なくありません。その場合は、できるだけ発作を抑えこむようにすることが生活の質を守ることにもつながります。
喘息(ぜんそく)の原因
喘息は気道の慢性的な炎症です。炎症の原因はアレルギー性のものと、非アレルギー性のもの2通りがあります。 アレルギー性の原因はほこり、ダニ、カビ、ペットの毛、花粉、薬などです。これらにふれると発作を起こすタイプの喘息もあるのです。アレルゲンになるべく近寄らないようにして生活しなければいけませんが、なかには花粉のように避けようのないものもあるので注意が必要です。
一方、非アレルギー性の原因は煙草、ストレス、風邪、天候などがあげられます。天気など避けようのないものが誘因になっている場合は体質改善など抜本的な解決が必要になることもあります。 いずれにしても、多種多様な原因があり、喘息が起きる理由はひとつではないのです。
しかし、どの場合でも気道が敏感になっていて、激しい咳き込み、呼吸困難など非常に苦しい状態に陥ってしまうことは共通しています。
病例
喘息の症状には個人差もありますが、夜中から明け方にかけて発作が起きやすいことが特徴です。発作が起きると横になったままでは呼吸ができないため、どうしても睡眠不足がちになり体力を消耗します。 急に喉がつまるような感覚が発作が始まるサインです。
つづいてヒューヒューゼーゼーという喘鳴が発生します。乾いた咳が連続して出て呼吸をするのさえつらくなります。喉にひっかかるような粘り気の強い痰も出て、ますます気道がふさがれるような感じを覚え呼吸困難に陥ります。 呼吸困難の時間があまりに長いと、血中の酸素濃度が低下して、指先や唇が青くなるチアノーゼになってしまいます。
それでもまだ呼吸困難が続くとなったら、それはもはや生命にかかわる事態です。そこまでにならないうちに、喘息は早めの治療が大切です。発作に対しても迅速に対処してスピーディーに抑えこむようにしなくてはいけません。
検査と診断
喘息の検査は多岐にわたります。一般的には血液検査、胸部レントゲン検査、呼吸機能検査、痰検査などが実施されます。ただし、すべての検査が必ずしも必要というわけではなく、当クリニックでは血液検査のみを行っています。もし、胸部レントゲン検査、呼吸機能検査、単検査などの精密検査が必要になった場合には大学病院や総合病院内科等への紹介も行っています。
喘息との診断を出すのは問診と聴診からでも十分な場合がほとんどです。喘鳴のプロセス、呼吸困難の様子、発作が出る時間帯とその様子が喘息特有のものならば、喘息の疑いは濃厚といって良いでしょう。
アレルギー体質が遺伝している可能性が大きいなど、原因をある程度推定することも可能です。喘息がどのような原因で引き起こされているかによって治療の方針も少しずつ異なってくるので、原因を特定することは非常に重要なのです。
喘息(ぜんそく)の治療方法
主に吸入ステロイド薬による治療を行います。この薬には強い抗炎症作用があり、気道の慢性的な炎症を抑えることができます。即効性は乏しく、使用して一定期間後に効果が現れ始めますが、継続して長期間使用することで予防を含めた効果が定着していきます。ステロイド薬による副作用として、のどの痛みや口内の違和感などが報告されています。
しかし、吸入ステロイド薬で使用されるステロイドの量であれば、副作用が出ても大きな問題にはなりません。逆に、副作用を恐れて薬を使わないでいると、喘息が悪化してしまい、より深刻な症状へと発展しかねません。 また、アレルギー反応によって気道の炎症を起こす患者さんの場合、抗アレルギー薬などを服用して発作予防を図ることもあります。さらに、気管支拡張薬で気道を広げ、呼吸を円滑にする方法もあります。
喘息治療では様々な薬を組み合わせるため、医師の指導の下で継続的に服用していくことが重要です。また、ご自身で使用履歴などを管理しておくと、なにか問題が起きた時の対応が円滑になります。
費用
喘息の治療にかかる費用は個人差がありますが、3割負担として1回で診察料や処方せん料で、2000円前後、調剤薬局での薬代は、2週間で1000円~2000円前後となります。 しかし、じつは自治体によっては喘息の治療費に関して助成制度を設けています。
たとえば東京都ならば、大気汚染医療費助成制度によって、都内に1年以上住んでいて健康保険に加入している非喫煙者ならば助成を受けることができます。喘息治療にかかった医療費のうち健康保険適用後の自己負担分が助成されるため、実質無料になるのです。もし、条件に合致しているのであればぜひ利用したいところです。
東京都以外の自治体でも助成を設けているところはありますが、認定要件はそれぞれ異なります。18歳未満の児童を対象にしている自治体が多く、子どもの罹患者の多い喘息ならではです。
日常生活の注意点
喘息の改善のためには日常生活の中で注意すべき点がいくつかあります。もし、アレルギー性の喘息ならば住環境からできるだけアレルゲンを除去しましょう。とくに畳、じゅうたん、布団などはダニやほこりの素になりがちなので念入りに掃除するように心がけましょう。通気性の悪い部屋はカビが発生しがちなので、空気の入れ替えも適宜行いたいところです。
運動に誘発されて喘息を起こす人は、運動をしてはいけないということはありません。適度な運動は新陳代謝を高め、抵抗力を強くするのにも役立つからです。ウォーキングなどの運動誘発性喘息を起こしにくい運動を選んで続けていきましょう。
運動の他にも煙草、花火の煙、バーベキューの煙などが発作のきっかけになることもあります。参加する歳には風上に陣取って、なるべく煙を吸い込まないようにするなど、ちょっとした工夫をつねに心がけましょう。
自己判断での治療中止は再発の原因に
喘息はしばらく発作が収まったとしてもまたいつ出るかわからない病気です。少し調子の良い時が続いたからといって吸入ステロイド薬を自己判断で中断するようなことはやめましょう。 喘息は慢性の炎症です。表面的には症状が消えたように見えても内部では炎症が続いているというのはよくあることです。治ったと勘違いして薬をやめてしまうようなことは避け、必ず医師の判断に従って薬を適切に使用し続けましょう。
ステロイド剤を長期にわたって使用することに抵抗がある人もいます。しかし、喘息治療に使われるステロイド剤はそもそも長期間使用されることを想定して開発されているので心配ありません。 子どもの頃にひどい喘息でも、大人になるに従って抵抗力がつき、体質も変わることによってほとんど発作を起こさなくなる人もいます。喘息の治療はあきらめないで続けることがとても大切なのです。