インフルエンザウィルスによって引き起こされる急性感染症のことで、多くは上気道炎症状や呼吸器疾患を伴い、流行性感冒とも呼ばれます。
日本では冬に毎年のように流行し、11月下旬〜12月上旬頃に最初の発生、12月下旬に小ピーク、冬休みの間は小康状態で、翌年1〜3月頃に患者数が増加してピークを迎え、4〜5月には流行が収まります。
気管支炎や肺炎だけでなく心不全や脳症などを併発することもあり、命を落とす危険性のある病気です。特に高齢者や小児は危険なので注意が必要です。
例えば、度々ニュースでも耳にするインフルエンザの種類としては鳥インフルエンザがあります。
通常は人に感染するという事はないですが、鳥インフルエンザに感染した鳥類に触れた場合に稀ではありますが人への感染が見られたりすることがあります。食用の鶏肉を食べた場合の感染の心配については、まだ感染したという事例や報告はないです。
インフルエンザが科学的に証明されたのは約100年程前、1900年代頃からになります。毎年流行する中でも世界的に大流行することが数年に一度あります。
例えば1918年に大流行した『スペインインフルエンザ』というインフルエンザがありますが、こちらは世界的に大流行した際には2000万人~4000万人程度の被害者が出たと言われています。日本だけで見ても45万人の犠牲者が出たと言われている程の大流行になりました。
その他にも『アジアインフルエンザ』や『香港インフルエンザ』等がありますが、どちらも世界的に大流行を起こしたインフルエンザになります。
インフルエンザは主に、次の3つのルートから感染します。
ヒトに感染するインフルエンザウィルスはA型、B型、C型の3種類に分類されますが、臨床的に問題となるのはA型の2亜型(A香港型とAソ連型)とB型です。
特にA型は変異しやすいため既存のワクチンが効かなくなることもあります。2009年春に出現した豚由来の新型インフルエンザウィルスA型は世界中に広まり、WHO(世界保健機関)はパンデミック(世界的大流行)を宣言する事態になりました。
家族内感染で最も多いと言われているのが乳幼児からの感染です。
乳幼児から感染したインフルエンザは母親へと感染され家族全体へと感染がされるという事が多く報告されています。
乳幼児の場合はマスクを付ける事が難しいため、くしゃみなどで飛沫されたものを母親が吸い込んだことにより感染し、それが家族内で伝染していくことが多いです。また、企業や学校での感染も非常に多く報告されています。
児童や従業員の一人でもインフルエンザに感染している場合には連鎖式に感染することがあります。感染者との直接的な接触では勿論ですが、公共施設の場合はドアノブやデスク等にウィルスが付着したものに触れた際に、付着していたウィルスが間接的に体内に侵入することでインフルエンザが発症します。
一般的な風邪とインフルエンザの症状として38度以上の発熱が挙げられます。通常の風邪と比べて急速に上記の症状が表れやすいのがインフルエンザの特徴となります。
比較的に症状が軽度の場合もありますが、高熱や全身の倦怠感、関節痛等の自覚症状を感じた場合には近くの医療機関等で診断をしてもらう事をおすすめします。また、稀にインフルエンザを発症した児童や未成年が異常行動を起こすことがあるという事例や報告があります。
主な異常行動として挙げられるものが以下となります。
・急に走り出すことがある。
・療養中の部屋から突然飛び出そうとする。
・部屋や自宅内をあてもなく歩き続ける。
上記のことがあるため、児童や未成年がインフルエンザを発症した場合に2日~3日間は一人にせずに保護者がそばにいるようにすることをおすすめします。
また、インフルエンザ自体には効果をないものとなりますが免疫力が弱くなっている高齢の方のインフルエンザの場合は、肺炎球菌の細菌等にも感染がしやすくなっていることがあるため気管支炎・肺炎の二次被害を防ぐために抗菌薬を処方することがあります。
その他の治療方法としては感染前の予防接収が最も効果的な治療法として挙げられますが、予防接種をしたからといって100%インフルエンザに感染しないという事はありません。
あくまで予防接種の場合はインフルエンザが発症した際でも発症時の症状を軽くするための予防方法となります。通常、予防接種をしなかった場合に挙げられる危険性としては合併症による肺炎や脳症がありますが、最悪の場合は命を落とす例もあります。
それらの重症化を最大限までに収めるための効果的な方法としてあるのが予防接種になります。また、予防接種をしたことにより約34%~55%の高齢者のインフルエンザの発症を抑えた事例や82%の深刻な状態を阻止する効果が見られたという報告もあります。
高齢者ばかりではなく児童や成人をされた方にも同様の効果があると言われているため、インフルエンザの流行前に予防接種をしておくことがおすすめです。ただし、上記にも記載をした通りに100%インフルエンザの感染を防ぐものではありませんのでご注意ください。
風邪と同じく症状を緩和する対症療法と、ウィルスそのものの増殖を防ぐ原因療法があります。
高熱に対しては冷却とともに解熱薬を使います。呼吸器症状に対しては咳を止める薬などを、消化器症状に対しては成長薬や止痢薬を使います。また、細菌を原因とする肺炎などを併発している場合には抗生物質も使用します。脱水にならないよう水分補給に努めることも重要です。
インフルエンザの治療は抗インフルエンザ治療薬を使用します。
抗インフルエンザ治療薬は主にタミフル、リレンザ、イナビルの3種類が使用されます。
タミフルは粉薬とカプセルのタイプがあり、A型インフルエンザ及びB型インフルエンザの両方に効果があります。
乳幼児から高齢者まで服用ができ、妊婦や授乳中でも服用ができます。
しかし、内服後の異常行動がニュースなどでも話題となっており、1度内服して異常行動がみられたという子どもへの処方はできません。
リレンザは吸入タイプの薬でこちらもA型インフルエンザおよびB型インフルエンザの両方に効果があります。
5歳以上から使用ができ、妊娠中、授乳中の使用も可能です。
1日2回・5日間と使用する頻度がタミフルよりも少ないということが特徴です。
イナビルも吸入薬で、インフルエンザA型、B型の両方に効果があります。
このお薬は1回の吸入で治療を終了することができます。
効果の発現も早く、副作用が少ないという特徴がありますが、5歳未満及び、喘息、乳製品アレルギーの方では処方できないこともあります。
新宿・西新宿に関係のある方が多く来院する当院内科では抗ウイルス薬の吸い薬や飲み薬を処方しています。
インフルエンザは学校保健安全法で、第2種感染症に位置づけられます。
そのため、感染している場合は学校あるいは職場への登校、出勤が原則禁止となります。
特に学生は発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては、3日)を経過するまで出席停止となります。
インフルエンザのような症状が現れた場合には早めに検査をしましょう。
新宿エリアには多くの内科がありますが、当院内科では他の地域にお住まいあるいは他の地域の学区に通っていてもインフルエンザによる出席停止の診断書を作成することができます。
インフルエンザを予防するための方法は手洗い、うがいをしっかりとしてウイルスを取り込まないこと、抵抗力をつけてウイルスが体内に侵入した時にでも症状を発症させないようにすることが重要です。
手洗いは、しっかりと水で手を濡らし、石鹸を泡立てて掌、手の甲だけでなく指の間や爪の間も洗います。
石鹸を泡が残らないようにすすいだら清潔なタオルで水気を十分に拭き取れば手洗いの完了です。
うがいはお茶など抗菌効果が謳われているものもありますが、水でのうがいも十分インフルエンザの予防効果があります。
特に、インフルエンザなど感染症にかかる前にイソジンなどのうがい薬を使用すると、ウイルスと闘う自己の免疫力を損なってしまいます。
また、外出時にはマスクを着用し、人込みを避けて行動することも予防につながります。
さらに、ウイルスが体内に侵入しても対抗できるように栄養と休息を十分に摂るようにしましょう。
こうすることで抵抗力がつき、ウイルスが体内に侵入したとしても症状が出現せずに済むこともあります。