スギ花粉症は日本人の3~4割がかかっている代表的な花粉症です。
その有病率は年々増加しており、この10年間で約10%も増加したと言われています。
その患者層は老若男女問わずに増加傾向にあり、主に60歳以上の方以外ではほとんどの年齢で広がっています。
新宿にある当院内科にも小学生から高齢者まで幅広い層の患者さんが治療を受けに来ています。一般的には、耳鼻科だけでなく、内科や眼科でも花粉症は治療しています。
スギの花粉が原因となりますが、花粉以外にもアレルギー体質、遺伝なども原因となります。
スギ花粉の飛散時期は2~3月とされています。しかし、地域によって±1か月前後の差があります。沖縄はスギが自生していないことから1年を通してスギ花粉症はほとんど見られないとされています。
スギは室町時代から本格的な植樹が始まりましたが、太平洋戦争時に軍需目的で大量に伐採されました。
その後日本政府は第二次世界大戦後に木材の需要が高まったことを受けて、疫病に強く成長スピードが速く建材としての価値が高かったスギが、高度成長期頃に積極的に植樹をされてきました。ですが、高度経済成長後に日本の林業は衰退、スギが伐採されることなく残ってしまいました。
もともと欧米では1800年頃より花粉症の報告があったのに対して、日本では1961年のブタクサ花粉症の報告がなされるまで、花粉症という病気は皆無ともいわれていたほどでした。
しかし、1960年に農林水産省が大規模のスギ植林を推奨したことによってスギが国内で増えたこと、1960年代に木材貿易の自由化に伴い、7割の木材を輸入に頼るようになり、結果として大量に植えたスギが伐採されずに残り、これがスギ花粉症を広めたと考えられています。
これに加えてアスファルトやコンクリートといった花粉が分解、吸着されにくい地盤となってしまい、スギ花粉の飛散量が増えていったとされています。
さらに、スギは樹齢30年以上を超えると花粉生産能力が高くなるため、年々花粉の飛散量が多くなっていってしまい、スギ花粉症の患者が増加傾向となっているのです。
また、1964年に花粉症の父ともいわれる齋藤洋三がスギ花粉症の発見にまつわる論文を発表し、ここからスギ花粉症が公に発表されました。
スギ花粉症の症状は鼻と目に現れやすいことが特徴です。
まず、鼻の三大症状といわれるのがくしゃみ、鼻水、鼻づまりです。特に、鼻水はさらさらとした水っぽい鼻水が出てくることが特徴です。
次に目の三大症状といわれるのが目の痒み、目の充血、流涙です。
他にも全身症状として体のだるさ、熱っぽさ、イライラする、喉や顔や首のかゆみ、集中力が低下するという症状が現れます。
これらの症状が花粉の飛散する2月~4月前後に特に著明に出現することがスギ花粉症の特徴になります。
花粉症であるか、またスギ花粉症であるかどうかは以下のような検査を行うことで判明します。
1つ目は血液検査で血中のIgE抗体及び花粉に反応する特異的IgE抗体を調べることで分かります。
2つ目は皮膚反応検査と言い、皮膚の表面にひっかき傷を作り、そこに花粉のエキスを落として反応をみるという検査です。
3つ目は鼻粘膜誘発テストといい、原因と思われる花粉のエキスのついた紙を鼻の粘膜に張り付けて反応をみるというものです。
問診のみで判断する場合があります。
検査を希望する場合には診察時にその旨を伝えることをおすすめします。(新宿駅前クリニックでは、血中のIgEによる血液検査のみおこなっております。それ以外の検査はおこなっておりません)
スギ花粉症の治療は一般的に内服薬、点鼻薬、点眼薬を用いて治療を行います。
他にも舌下免疫療法といいスギ花粉から抽出した薬液を舌下に垂らすという治療法やレーザー、特殊な薬剤を使用して鼻の粘膜を焼いて粘膜を縮めるという治療方法もあります。(舌下免疫療法やレーザー治療は当院ではおこなっておりません。耳鼻科(耳鼻咽喉科)でも実施していないクリニックも少なくありません)
スギ花粉症の治療において、内服薬、点眼薬、点鼻薬のみであれば原則保険診療にて治療を行うことが可能です。
しかし、自由診療の他の治療を行った場合は保険適用外となる場合もあります。新宿でスギ花粉症の血液検査(IgE検査)、治療を行う当院内科にご来院される際には健康保険証をご持参下さいませ。
スギ花粉症を予防するためには花粉を近づけないということが大切です。
外出時はマスクと眼鏡を着用して花粉を体内に取り込まないようにしましょう。
外出後は玄関先で服についた花粉を払い落として早めにシャワーを浴びるように心がけましょう。
花粉が飛散する時期には窓を開けっぱなしにせず、布団や洗濯物も室内干しにするとよいでしょう。